冬の乾燥について
①はじめに
『冬は乾燥するから加湿器をつけましょう』とよく聞くかと思いますが、なぜ冬は乾燥するのでしょうか?
冬に乾燥する理由は“空気が含むことのできる水蒸気の量が温度によって変動するから“です。
空気は温度が低いと多くの水蒸気を含むことができますが、温度が低くなると含める水蒸気量が少なくなってしまいます。水分量の少ない空気の中で常に過ごしていることになりますね。
そして暖房をつけると、温度が上がるので空気が含むことのできる水分量は増えます。しかし空気中には元々少ない水分量しかなかったので相対的に湿度が下がり、乾燥した状態になってしまいます。
②乾燥するとどんな影響があるのか
ズバリ、乾燥すると風邪や感染症にかかりやすくなります。 鼻や喉の粘膜、肌などが乾燥すると、菌やウイルスの攻撃に対するバリア機能が弱くなります。
空気中のウイルスは、呼吸時に鼻や口を通って気道上皮細胞に接着し、体内に侵入します。気道の上皮にある線毛は、正常に働いていれば、鼻腔や気道に付着したウイルスを線毛の上にある粘液が絡め取り、15分以内にはウイルスを体外へ排出する仕組みになっています。
しかし、乾燥や冷気により気道上皮が潤いを失い荒れてしまっていると、線毛の働きが弱くなり、ウイルスを外に出せなくなってしまいます。こうして、ウイルスが気道で増殖すると、炎症を起こす物質が出てきて、咳やたんなど症状が起きてしまいます。
粘膜の湿度が保たれていれば防げたはずのウイルスやアレルゲンの侵入を許してしまうことになり、インフルエンザなどにかかってしまうというわけです。
③乾燥でウイルスが活発に
冬になると風邪や感染症が流行るのも、乾燥と関係しています。
日本の冬は湿度が低く、気温が低いので、インフルエンザなどのウイルスにとって好都合な環境にあります。
湿度が高いとウイルスは空気中の水分を含んで重くなり、地面に落ちやすく、ウイルスの生存率は低下します。このため体内に入るウイルスは減り、感染力が低下します。
湿度が低くなり乾燥すると空気中でウイルスが水分を含みにくいため、ウイルスが浮遊している時間が長くなります。空気中のウイルスが多い状態になり、体の中に入っていきやすくなります。 さらに今流行している新型コロナウイルスやインフルエンザウイルスは『エンベロープ』という脂質の膜をまとっています。このエンベローブという脂質の膜を持つウイルスは、高温多湿では生存しにくい特徴があるので、低温で乾燥した環境はウイルスにとって最適となってしまうのです。
④加湿器とマスクで対策を
おすすめの対策は加湿器を使用することと、マスクをすることです。
・加湿器
つけていてもつけていなくてもあまり変わらないように思えるかもしれませんが、大事な予防です。予防なので加湿器をつけることで効果を感じることは少ないかもしれません。ですがつけなくなると鼻や喉の粘膜は乾燥し、ウイルスへのバリアを失った状態になってしまいます。つけなくなって体調を崩して後悔することのないように、しっかり継続して使用しましょう。
・マスク
先ほどお伝えしたように、冬はウイルスにとって絶好の環境です。街行く人の中にもウイルスを持っている人が増えている季節です。 風邪をひくと1回の咳で10万個、1回のくしゃみで100~200万個の飛沫が空気中に飛び散ります。湿度が40%以下になるとウイルスの落下速度はゆるやかになり約30分間、空気中を漂うことになります。そして、乾燥しているとウイルスは地面に落下せず、遠くまで飛んでいくと言われています。湿度60%と比較すると湿度30%では2倍遠くに飛ぶそうです。
乾燥すればするほど広い空間にウイルス飛沫が広がります。
さらに自分の粘膜も乾燥しているので、飛んできたウイルスを防ぐことが難しくなります。 マスクをすることで粘膜を守り、飛んできたウイルスを直接浴びないように対策しましょう。
~おわりに~
インフルエンザやコロナウイルスに感染すると発熱等で辛いのはもちろんのこと、体力も低下するように感じます。
乾燥対策をすることでの感染予防は一見効果が見えづらく面倒だと思ってしまうこともあるかもしれませんが、体調を崩してから後悔しないように、日ごろから心がけて生活することをお勧めいたします。
また、少しでも体調が優れない時は免疫力も低下しています。無理せずしっかり休みましょう。